国内企業の現状と主要海外ブランドの動向
スポーツ用品製造・流通業は、日本標準産業分類では「スポーツ用衣服製造業」「運動用具製造業」「スポーツ用品・娯楽用品・がん具卸売業」「スポーツ用品小売業」に分類されているが、以下では「製造」「輸出入」「卸売」「小売」の各業域に分けて、おのおのの業務や主要企業、特徴を解説する。
「製造業」は、①自社ブランド製品の製造ならびに卸売・小売業向け販売、および②OEM(相手先ブランドによる生産)を行う。具体的な業務には、研究開発、企画、生産管理、販売、販売促進、広報・宣伝などがある。主たる企業にはミズノ、アシックス、デサント、ゴールドウイン、ヨネックス、モルテン、ミカサ、山本光学、東亜ストリングス、ゴルフ大手のSRIスポーツ(ダンロップ)、ブリジストンスポーツなどがあり、スポーツ用品一般を扱う「総合メーカー」と、特定の競技や分野に特化した「専門メーカー」がある。
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「輸出入業」は、①海外ブランド製品の輸入・販売、および②材料・部品の輸出入・販売を行う。具体的な業務には、スポーツ用品・材料・部品の買い付け、輸出入、販売、広報・宣伝、販売促進がある。主な企業には、総合もしくはスポーツ用品専門の商社や、ナイキジャパン、アディダス ジャパンなど海外スポーツブランドの日本法人がある。ナイキジャパンとアディダス ジャパンは、国内での卸売や、一部で小売も行っている。
「卸売業」は、海外ブランド・国内ブランド製品の国内小売企業向け販売を行う。主な業務は企画・仕入、販売、販売促進であり、主たる企業にはゼット、エスエスケイ、アシックス商事、ザナックス、イモト等がある。その中には自社ブランドで製造を行っている企業もある。
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「小売業」は、海外ブランド・国内ブランド製品の店頭販売および学校などの法人向け販売を行う。主な業務は仕入、販売、販売促進であり、主たる企業にはゼビオ(ヴィクトリアを含む)、アルペングループ、ヒマラヤ、有賀園ゴルフ、ツルヤゴルフ、二木ゴルフ、加茂商事、B&Dなどがあり、「大規模・多店舗展開企業」と「種目別専門店」(ゴルフ・野球・テニス・アウトドア・球技・サッカー・陸上・水泳・卓球等)、「単店舗総合小売店」の3種類に大別される。いずれの業種にも管理業務(人事・総務・経理・法務・物流等)があるのはいうまでもない。
近年、各業種の企業は、以上のような分類上の区分をまたいでビジネスを展開している。大規模小売業が製造・輸入を行ったり、製造業が卸・小売販売を行ったりするケースである。たとえば、ミズノは製造・卸・小売を自社で一貫して行っている。アシックスも同様だが、卸機能のみ別会社が行っている。代表的な国内企業の現況について表にまとめたので、参照してほしい。
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一方、代表的な海外ブランドの日本法人であるナイキジャパンとアディダス ジャパンについては、業績が未公開であるが、業界紙等の予測として両社とも売上高1000億円程度とされている。ナイキジャパンは米ナイキ社の100%連結会社で、同ブランドの生産・輸出入・販売(卸・小売)を行っている。日本への進出当初は、米国のシステムをそのまま持ち込んだため、日本の商慣行、流通システムに適応できずに失敗。しし、流通政策を一新して適応を図ってからは、順調に業績を伸ばしている。従業員数は約800人。
一方のアディダス ジャパンは、独アディダス社の100%連結会社であり、同ブランドの生産・輸出入・販売(卸・小売)を行っている。日本進出はナイキよりもはるかに早く、成功と失敗を繰り返しながら成長を遂げてきた。従業員数は約500人。 どちらの外資系企業も日本の証券市場には非上場で、社内の公用語は主として英語である。定期採用はなく、必要に応じて募集している。
米国に次ぐ購買力のある日本市場への期待と課題
経済の先行き不安、所得の伸び悩み、所得格差の拡大など経済的要因に加え、少子高齢化など社会構造の変化により、国民のスポーツ参加率がなかなか伸びない。また、プロスポーツなどの「みるスポーツ」に対する消費支出は増加傾向にあるが、ゴルフ、スキーなどの「するスポーツ」については減少傾向にある。その一方で、健康維持・増進、地域住民との交流などを目的にした生涯スポーツ(ライフタイムスポーツ)が注目されている。
そのため長期的には、スポーツ関連の消費支出は概ねゆるやかな拡大が予想される。ただし、その流れをより確実なものとするためにも、産官民が結束して、国民のスポーツ参加率を高め、需要の増大を図る、社会的ムーブメントを起こすことなどが求められる。
伸び悩みが指摘される日本市場であるが、国際的には単独マーケットとして米国に次ぐ購買力があるとみられている。その結果、競争のグローバル化はよりいっそう激しくなると予想され、国内企業の国際競争力が問われている。
一見華やかなイメージのこの業界だが、仕事は地道かつ多岐にわたり、タフな面も多い。したがって、どんな仕事にも前向きに取り組む、元気で明るい性格の人材が向いているといえる。業務経験を積みながら、自分の適性に合う仕事を見出せれば、前途は明るい。また、スポーツ経験というよりはスポーツ好きであることが不可欠である。企業が求める社会人としての基礎能力は当然身につけておくべきであり、スポーツマネジメントなど専門領域の習得はプラス要素となる。
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